始発で出会った睡魔に敗れた人
どうも。バナナの皮です。
私は朝早く電車に揺られ職場に向かうのだが
いつも同じ時間、同じ車両に乗るので周りの面々も大体同じ。なんなら毎朝会う友達感覚ですらある。
1駅ごとに睡魔に勝とうとする人
ipadでエロ漫画見てる人、貧乏ゆすりの達人
様々な人がいる朝である。
その中の一人、1駅ごとに睡魔に勝とうとする人の話なのだが
いつも私の真向かいにいる。
皆、座る場所も大体固定されている。
そんなとある日、事件が起こった。
彼の様子がおかしい。
1駅ごとに起きない。
降車駅間近、まだ起きないのだ。
なんなら赤ん坊のような顔でスヤスヤと眠っている。
いつも真向かいに座る私は当然彼がそこで降車することを知っている。
どうする?放置?いやでも
いつものごとく小さい脳みそをフル稼働させる。
起こそう。
私は立ち上がって真向かいにいる彼の肩を落とし揺らした。
「お兄さん、〇〇駅ですよ」
早朝のガラガラの車内
駅員以外から声をかけられるなんて思いもしないだろう。
ァゥァ、と小さく声を漏らした彼の目は完全に醒めていた。
ありがとうございます!と小走りで降車した彼を見送り私は職場に向かった。
良いことをした、と自画自賛し私はいつものように職場に向かった。
その2日後、いつも通り電車に乗ると
今日は睡魔もないのかハッキリした目で何やら彼が私の様子をうかがっている
目を合わせるのもなんだかときめきメモリアルだったので敢えて気付かぬフリをしてTikTokをスクロールする
すると彼は私の目の前に立ちはだかりこう言った
「あの、これ、お礼です」
「?(゚∀゚)!」
まさかの菓子折りである。
起こしただけなので、と伝えるが
いやほんとに助かったので。と引かぬ彼の気持ちを無下にするわけにいかず快く受け取った。
なんて情に熱い男だ、と帰宅後菓子折りを開封すると
なんと私が大好きなお菓子ではないか。
その翌日から電車で顔を合わすたびにお互いに目が合えば会釈する関係になり
彼が降車する際もニコッと笑って見送り見送られる間柄。
なんだこの甘酸っぱい関係。
始発の車内、仕事に行く主人を見送る妻ポジ(的な関係)をゲットした。
だが残念なことに仕事の関係で1本早い電車(始発)に私が切り替わってしまった為
別れを言う間もなく私達の関係は幕を閉じた。
元気にしてるかしら。と時折おもいだす。